とある飛空士への追憶
表紙は凛々しいのに口絵も挿絵も可愛い系と言うギャップ 。本文中の描写から考えると両方ともファナ(ヒロイン)の一面です、で済みそうですが。しかしそんなギャップにも関わらず中身は素晴らしい。豊富な語彙での比喩と情景描写。物語の中核であり、大部分を占める飛行旅程はヒロインとの交流はもちろん主人公の心情、葛藤や空戦も含めて巧みに語られます。専門用語っぽいのが判らない箇所もありましたが、その程度なら無視できるほどの圧倒的な描写力。
切なさがじんわりと尾を引くほどに余韻も凄いです。こみ上げてくる読後感と同時にうまいなあ、と感嘆の念も沸きます。描写力ほんと凄い。最近読んだ単発モノでは群を抜いた完成度でした。