キリンヤガ
これはユートピアの在り方と崩壊を描いている。SFの要素は背後にあることを感じさせるだけで作中にもほとんどでてこない。
ムンドゥムグという名の祈祷師の地位にあるコリバは、ユートピアキリンヤガにおいて神ンガイの代理人として君臨する。
そしてその立場上、時に頼れる賢人であり、時に進化を忘れた暴君となる。話が進むとともにユートピアが軋み、別のものへと姿を変えていくのだ。
生まれた異端を徹底して排除していたが、やがて異端が生まれすぎて排除しきれなくなり、ユートピアは事実上崩壊する。


コリバ自身は徹底して筋が通っており、序盤の落ち着いた語り口で恐れと尊敬を一心にまとう姿は実に魅力的だっただけに、崩壊とともにその姿が変わっていく様は非常に悲しかった。


何が正しくて何が間違っているのか。それを問う本作はいい具合に頭を使わせてくれる。

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