「ドイツ空軍の終焉」という本を読んでいて、百ページほど読んだ辺りで進むペースが遅いと思って原因を考えてみました。
空軍の視点から敗戦までを書いているものかと思っていたのですが、何の機体に乗っていた誰々が何月何日に何所で撃墜され、この部隊では何機何名の損失を出し、アメリカ、イギリス側にはどれほどの損失が出たか、というのを執拗なまでに細かく書き連ねているからでした。
よく考えたらそんなもん見ても右から左に抜けていく。でもまあ、敗北間際に辿る道は何所も同じなんだなあ。


あともう一冊「ユンカース急降下爆撃機」。装丁から漂う凄い昭和臭。初版が昭和49年だけある。一般にスツーカ(この言葉自体が急降下爆撃機の意だったけど、ユンカースJu87の代名詞になって浸透)と呼ばれている、ルーデルさんの搭乗機でもあった機体の本。
急降下時に空気の摩擦で悲鳴のような音が出て、それが敵の士気を著しく下げたために、より効果的にするためにサイレンをとりつけた(ジェリコのラッパ)とかそういうことが色々。イギリスのポムポム砲ってなんかかわいいな……。


この二冊を見比べてみると面白いもんで、ドイツ空軍の終焉は敗戦間際だからか「最悪の日」だとか「代償は高くついた」だとかそれに列する言葉がぞろぞろ雁首を揃えてます。被撃墜記録のオンパレードやで……。
対してユンカースは緒戦の記録だからか、ものっ凄く快進撃。この辺の記録を見てると空軍上層が力を過信するのも判るなあというほど。向かうところ敵なしぶりが凄い。


進撃するドイツ機甲部隊が、そのゆく手を連合軍の砲兵陣地や歩兵部隊、戦車部隊などにはばまれたとき、連絡将校が”ちょいと”「スツーカ」に”声をかける”だけで、すべてがいっきに解決した。-P53 ドイツ軍怒涛の進撃


初期は当然ながら錬度の高い、いっぱい訓練した兵が揃い踏みだったのに対して、末期はそりゃあもう錬度なんて最低限、しかも結構省略した最低限の錬度(たとえば急降下爆撃訓練5ヶ月のところを燃料不足のために2ヶ月に省略した)で出撃して、そのまま帰らぬ人になっていたそうなんで仕方ないと言えば仕方ない結果なんですが。同時に読むとほんとに同じ国かと思うね。しかも両方ナチが云々とかには特に触れてないもんだから共通点薄くてなおさら。



ちょっと個人的なメモ。


ヒトラーはかなり以前からノルウェーの中立性について疑問をもっていた。そして、「アルトマーク」事件が発生するにいたって、ひょっとすると、イギリスはノルウェーを占領し、ドイツに対する鉄鉱石の供給をおさえて、大西洋への出口をふさぐつもりなのではないか、という疑惑が頭をもたげ始めた。
じつのところ、イギリス政府にその意図はなく、ただ、ソ連の侵攻を受けていたフィンランドに対する援助物資をノルウェーの港へ陸揚げし、ノルウェーを横断して運ぶつもりだったのである。P40-41 無敵のデビュー戦

デンマークは将来のイギリス爆撃を考慮した景気づけ。