幻想症候群
幻想(妄想)が現実(実体化)になるという設定の話。
想像で部品を実体化させて空を飛ぼうとする話から始まるので、どうも気乗りせぬまま読み進めていたのですが、どうやら短編集だったようで次章に入ってからの話が意外にも引き込まれる。というか、冒頭で幻想が現実になるという設定読んで、ヒロインが主人公の妄想だったと何故か完全に信じ込んでしまっていたので、オチには意外さすら感じました。おれの頭の方が意外だ。
二章の終わりのない恐怖展開はオチ含めて楽しめました。ただ、ぼくのホラーものに対する土壌があまりにも貧困なせいで、頭に浮かんでいた絵がどう見ても三流ホラーだったのが悔やまれます。昔テレビで怖いシーンがあるとわざとらしく離席していたほどなんでこれは仕方がない。
そして三章で委員会とか言う胡散臭いのが出てきて、あっこれはと超展開の匂いを感じたのですが、別にそちらに走ってゆくことはなくただただヒロインといちゃつきつつ退廃的な方面へと転がり落ちてゆくのでありました。
そして終章で完全に終わったと思わせつつ物語の断片を拾い集め、最終的に終章の主人公が前に出るための勇気となるといった感じ。各章が独立した短編のフリして最後に繋がるってのは好きだわー。
最初の印象よりはるかに楽しめました。ブックオフで何も期待せずにたまたま手に取った漫画が意外と面白かったような、そんなお得感。