俺の妹がこんなに可愛いわけがない
変わった話だ、と言うのが第一印象でした。タイトルで手に取ってみようと思ったのは実に久しぶりです。
これも敢えてジャンルとして分類するならツンデレと言ってもいいのかもしれませんが、10のうち9.9は過剰なツンです。
もはや階級の差と言っていいほどに断絶した関係であった兄(主人公)と妹。なのにあるきっかけを持ち、妹から悩み相談を受けることに。タイトルと、完全に断絶した兄妹、そしてそんな妹からの人生相談。そこにあるのは見えすいた展開ではなく、なんだろうという興味です。これはうまい。
全体としては変に捻らず、古臭ささえ感じるほどストレートにオタクを書いて、更にそれに対する偏見に立ち向かう話です。エロゲなんて言葉でしか知らないほど一般人な主人公が、妹に対する心情の変化と共にエロゲは最高や! と叫ぶまでになるその過程を辿る話といってもいい。オタクを実直に書いているのに作品全体としてはちょっと変わった話という、面白い具合にねじくれた作品でした。
ヒロインがヒロインとして機能していないせいか、主人公が無駄に格好いい。
腐れ縁的な幼馴染をヒロインの座に該当させるには、影が薄いわ華がないわ絵が殆どないわと前途多難で、作中の出演頻度、存在感的にも添え物がいいところです。タイトル的にも絵の扱い的にも妹をヒロインとして見るべきなのでしょうが、というか、よくよく考えてみればボーイミーツガール的な方向性の話ではありませんでした。そうだよ、どういう話かっていうのは最初に書いていたじゃないか。そっぽ向きあっていた兄妹がお互いを見ることによってちょっと成長する話、これね!
結局巡りめぐってループしてきました。