f:id:kawati:20080807092833j:image:rightスカイ・クロラギララの逆襲観てきました。
これ救いがねえなおい。スカイ・クロラ
全体的に静かな印象の映画でした。間の取り方が巧かったものの、中だるみ気味でオチがまるで見えてこず、序盤のループが入ったところでええこれで終わりかもしかしてと諦観と共に思ったほどでした。何か変われる、変えられるんだ……! 的な自己奮起と共に敵エースに突っ込んで倒されて終了、そしてまた歴史は繰り返す……といった終わり方。最後にタイトルが出て、顔の出てこない新たな人物(主人公代理)が出たことで繰り返しを印象づけていました。思えば髪白くて新聞やたら丁寧に折りたたむ人も、ループで戻って来た人なんですね。戦争が国同士ではなく、会社同士でビジネスとしてやりあってるとか触れてたっけ? 〜社が、と言うのは確かに出てたんですが懇切丁寧には説明されてなかったような気がする。三ツ矢さんとぶっ壊れた恋愛に突き進んでも良かったのになーと思うのは無粋でしょうか。あの人、まともな強気っぽい女の子だけどどこか病んでる。
久しぶりにここまであまりにも救いがないものを観たので、余韻が強烈な残像に曳航されるかのように長く残りました。劇場を出てもしばらく言葉もろくに出ない。
出ないのに連れ合いの知人が「ねーギララの逆襲見ようよー。微妙な気分になろーよー」と言ってきます。ギララの逆襲。公式を見れば一発で判りますがケロロ軍曹はまるで関係がありません。ケロロ軍曹のアニメだったほうがなんぼかマシだなと思わせるほどのB級映画臭。タイトルロゴを見るだけで、サブタイトルを見るだけで、スカイ・クロラで感じた余韻が渦を作って水洗トイレよろしく流されていく予感がします。というか、その予感しかしません。
「絶対にイヤだね。ところでどこに向かっているのか」
映画館でした。
最後まで渋りまくる僕に、いくらか負担するから! と言って本当に三分の二を出して貰ってしまったのですが、どう見ても期待をかけすぎだろ……。というかスカイ・クロラ観る前に軽食とったんですがそっちの金返すの完全に忘れてた。すいません。
肝心の中身。伊部首相の顔がキモ面白かった以外には、各国のステレオタイプ的なイメージで首脳のキャラ作りをしていた点は面白かったのですが、そこはあくまでもサブにすぎず、メインシナリオのほうは何がなんだかよくわかりませんでした。多分着席した瞬間、首の後ろに座席から伸びてきたプラグが刺さり、気力をうにょんうにょん吸い取っていたのだと思います。そうでなければ異様にやる気のない特撮部分や、首の後ろが熱くなってくる様な素晴らしく寒々しい演出が現実と言うことになってしまいます。それは困る。僕は二時間かけて気力を吸い取られて特撮に対する偏見を植え付けられていたに違いないのだから。
今後「特撮が好きです」と言われたらああいうのが好きなのか……とこの映画のことをきっと浮かべるでしょう。この映画を観ている間中、家でスト魔スレ(二次裏のストライクウィッチーズスレ)に常駐してるのとどっちがマシかなということを考えていたのですが、スト魔スレ常駐の方が少しはマシかもしれんという結論に傾きかけていました。この類の映画はテレビ放映されて、どこかで突っ込みしながら観たほうが絶対に面白いぞ。
そしてその後知人とメシ食いにいったのですが、そこからが本題です。
知人は指輪を二つ身に着けており、見せてもらったのですが、そのうち一つに髑髏があり、スワスチカ(ハーケンクロイツ)があり、その時点では何ぞ物騒な指輪だなで済んだのですが、裏に彫られているヒムラーのサインを見てぴんときました。おいこれあれじゃん、ついこないだ日記でも触れたヴィルグートさんがデザインしたとかいう指輪じゃんとなり、(僕の中で)場は騒然となりました。ヴィルグートで検索かけてもうちの日記しかでてこないのでもう少しばかり引用しておきます。


しかしながらヒムラーはヴィルグート/ヴァイストーアにぞっこんで、SSのために名誉の指輪をデザインしてくれとまで彼に依頼した。ヴィルグートはきわめて満足しつつその依頼に応えたようだ。というのも、ヒムラーが認可した指輪には、ルーン文字のSS、ハーケンクロイツ、髑髏のマークと並んで、ヴァイストーア家に伝えられると称する一群のルーン文字が以後刻まれることになったからだ。
「ヒトラーの親衛隊」114P
(ヴァイストーアと言うのは、SS在籍中はカール・マリア・ヴァイストーアと名乗っていたため)

ということで、正式名称をトーテンコプフ・リングというそうです。
ちなみにバックに彫られているオークの葉模様についてのみ詳細の言及がなされていないので触れておきますが、一般にオークの葉が強さと忍耐のシンボルとして浸透していたからということであったようです。ヒムラーのサインの横に21.12.38と言う数字も彫られていて、1938年12月21日を指すのかなと思ったのですが、その日は何かあったっけ……。
この知人とはヒトラー最後の十二日間を上映当時に観に行ったことがあるくらいで、妙にそういう縁があるのですがこの衝撃はギララの余韻の悪さをも完全にふっ飛ばしました。「映画よりよほど面白い」と、僕の中では総員スタンディングオベーションでした。知人はその発言に深刻なダメージを受けていたようですが、観た後でなお肯定意見を維持できていたことに僕はショックでした。なんと言う懐の深さだろうか。あれはダメだろ……。