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前回この写真貼り付けたらレイアウトがひどいことになってました。というか、ぶらっくくおーとに被った……。


たまにはすこし、父の日の話でも。
去年か一昨年、唐突に思い立って初めて父の日にベルギービールのセットを贈ってみた所、親父は予想以上に喜んでいたので今年もまた贈りました。よく焼酎を飲んでいた記憶があったので、それを贈ろうと思って検索をかけたところ芋と米が云々と出てきて、焼酎どころかビールもチューハイも嗜まない徹底した甘党である僕は困った挙句、直接「芋焼酎と米焼酎はどっちがうまい?」とメールで聞きました。二月か三月ごろです。そのたった一行の質問に対して十行以上に及ぶ熱の入った返答で、「米は米の魅力があるが芋のほうがいい」という旨を貰い、じゃあ芋焼酎でも送るかと考えていたところおかんと電話で話す機会があり、それとなく触れたら「焼酎? それよりビールにすれ」という指令を受けまして、路線変更を余儀なくされました。
そうして結局ネット上をふらついて探し回り、見つけたビールに名前などのレタリングサービスつきコップのオプションをつけて注文。確認、発送と特に問題もなく続き、先日電話を貰いました。
「届いた」
最初に発せられたその言葉に込められた想いは、何よりもトーンが物語っていました。いつもの僅かに渋みのある、低い、落ち着いた調子の声とは違い、浮かれたような、子犬が跳ね回っているかのように弾んだ調子の声。饒舌に「こういう気遣いは嬉しい」「こういう気回しができる奴は将来出世する」と弾んだ調子の声で、我が子に惜しみない賛美の言葉を矢継ぎ早に送り込んできました。もう何を言っても浮かれていて、実は最初は焼酎を贈ろうとしていて、暫し前に質問を投げたのだ、という路線変更の経緯つきで裏話を話してみるとおかんの策略だおかんの策略だとはしゃいだように言いつつも、焼酎がきてもやっぱり嬉しかった、と返します。それから親父の側の転勤の話(ぼくが親元にいる間で4、5回は引越したのだから、総計すれば二桁には届くだろう)と、車をぶつけられて廃車になったという話についての詳細を聞き出し、無事を確認するとおかんに交代しました。
おかんは母の日に何も贈らなかったからかいつも通りで、でもすこし可笑しそうに親父が届いた箱を「おれが開ける」と言い張っていた、という話をしていました。コップは要らなかったな、とぼやきつつも(ぼくも実家でコップはむしろ余り気味であることは知っていて贈ったのですが)近況についての話をして、最後にせっかく記名入りにして貰ったのだから一度くらい使え、と言うと懐疑的な声を返してきました。どうやら普通のコップだと思っていたようで、一つには親父の名前が、そしてもう一つには自分の名前が入っていることに気づくと声に若干浮かれたような色を紛れ込ませつつ、食生活はしっかりやるように、と言い置いて通話を終えました。

電話を切った後、満足感の余韻に浸りながら、何度も繰り返すことができると色褪せると理解しつつも、歓喜の記憶を留めておきたくてICレコーダでも買おうかな、と思うのでした。うちの親は本当に仲が良いなあ。
変なものを贈って心底嫌がられるのはもはや性分のようなものですが、贈り物が喜ばれるのも嬉しいということを学ぶと同時に、こういうことを書いてみると中々照れくさいというか、恥ずかしいというか、そっぽを向いてしまいたくなるようなものがあります……ね。ICレコーダは本当に買おうかなあ。